父の引越し。
年老いた父。
ずっと自営業で生活してきたけど
足腰の老化で廃業する事になった。
住まいが賃貸なので家賃が払えなくなる。
少ない年金は到底生活できる金額ではない。
家賃と生活費を弟と二人で
支えて行く事になった。
私の住まい近くに小さな部屋を新たに借り
今日、父の引越しをした。
大量に出てくる不用品と戦いながら
今日一日父と私で頑張った。
作業の合間、断酒を告白すると
「うん、うん」と静かに聞いてくれた。
やっと作業を終え遅い夕食をとりながら
父に冷えたビールを注ぐ。
「お前が飲まないのに、悪いな…」
そう言う父に
「私はいいから。お父さん今日は頑張ったね」
と私。
明日から慣れない土地での生活が始まる父。
年老いてからの変化は
どれだけ不安だろう、寂しいだろう。
今日は飲みたいとは思わなかった。